個人の投資先の最適解としては、世界の市場全体の値動きを示す株価指数(MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス:通称オルカン)やアメリカの株式市場の値動きを示す株価指数(S&P500)に連動する投信信託への投資があります。
オルカンやS&P500などの株価指数連動型投資信託は確かに過去の成果をみると資産を増やすことが出来る有望な金融資産です。
確かに最適だと思いますが死角がないものでしょうか?
今回はそんな最適解である投資信託への投資をする上で、「注意すべき点はないのか」について考察してみます。
Contents
2つのリスク
オルカンやS&P500などの株価指数は過去の値動きを遡ってみてみると、上下の動きはあるものの基本右肩上がりとなっていて、このことから保有していれば高い確率で上昇していくものとして、投資の対象になりうるものであることは疑いありようがありません。
指数自体は良いものかもしれませんが、経済不安時には特に気を付けないといけないリスクもあることを知っておく必要があります。
それはなにかというと、投資信託の仕組み上発生してしまう可能性があるリスク、人の感情によって引き起こされる可能性があるというリスクの2つのリスクの存在です。
具体的にいうと、繰上償還のリスクと金融危機時の資金流出(ファンド内の大量換金リスク)のリスクです。
繰上償還リスクとは
リスクの概要
投資信託は、運用会社の判断により、途中で「償還(終了)」される事があります。
これを「繰上償還」または「強制償還」と呼んでいます。
発生原因の例
- 信託財産の規模が一定以下となり、効率的な運用が困難になった場合
- 市場環境や規制変更等で、ファンドの運用継続が困難と判断された場合
- 運用戦略の見直しに伴う商品の統廃合
発生した場合の投資家へ影響
- 長期運用を前提としていた投資戦略が崩れる可能性
- 繰上償還時点の価格で自動で資金が返還されてしまうため、含み損が確定してしまう事もありうる。
- 代替ファンドへの乗り換えコストや再投資のタイミングロスの発生
金融危機時の資金流出リスク(ファンド内の大量換金リスク)とは
リスクの概要
金融市場が混乱(例:リーマンショック、コロナショックなど大きな経済不安の発生)すると、投信信託の保有者が一斉に換金を求め、大量の資金流出が発生するもの。
発生した時のその他の影響
- 投資信託の価格の急落:解約に応じたファンドの解約により、ファンドの保有資産の売却が発生し基準価格が下がる可能性も
- 残存投資家への損失:一部の投資家の解約が、解約しなかった他の投資家へ影響を及ぼす。
リスクに対してどう考えるか
繰上償還リスクと金融危機時の資金流出リスクは共に市場が好調の時は誰も気にすることがないリスクでしょうが、いったん世の中が不景気になり市場が弱気になった場合には、非常に気を付けないといけないリスクであると思われます。
上記で記述した通り、自分がいくら長期で保有したい・解約したくないと思っていても運用会社の方で勝手に解約されてしまうのです。
どれほど有望なオルカンやS&P500といった指数への投資であっても、リスクが顕在化した時のことを考えて投資をしておくことがリスク回避になるでしょう。
例えば、
- 余裕資金で行う(10年以内に必要な教育資金や住宅ローン等を使って投資しない)
- 投資先のファンドは十分な運用資産があるか(100億円以上など)
- 複数のファンドへの投資(分散投資):同じ指数で違う運用会社の複数のファンドで投資する 等々
当たり前の内容かもしれませんが、上記にようなリスクを抑える運用方法で投資をしておけば、市場の暴落があったしても比較的に心穏やかに投資を続けられるのではないでしょうか。
まとめ
世界はつながっています。
世の中のどこかの経済・市場で何らかの経済ショック等が発生すれば、世界の金融市場はダメージを負います。
このようなときは金融商品の一つである投資信託も例外なく、暴落時の影響を受けてしまうでしょう。
このようなときに個人投資家として慌てないためにも、平時からこうしたリスクがあることを認識し、例えオルカンやS&P500のような有望な投資先であったとしても、万が一に備えた投資を心掛けていくべきだと改めて思うのでした。
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