投資にはポートフォリオとアセットアロケーションという2つの考え方があります。
同じような概念ではありますが、2つの概念の使いわけにより、より堅実な資産の構築を進める事ができるようになります。
今回はこの点について考察してみたいと思います。
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ポートフォリオとアセットアロケーション
ポートフォリオ
一般的に(投資上での)ポートフォリオとは具体的な金融資産の配分・組み合わせの事を意味しています。
アセットアロケーション
異なる性質をもつ資産(アセット)を配分(アロケーション)することを意味します。
2つの共通点
ポートフォリオもアセットアロケーションも共通しているのが2つとも単一の資産でなく、複数の資産を持つところです。
投資をする際は特定の資産に集中させ過ぎないように、複数を持つと価格変動(リスク)の低減が可能になるという考え方です。
書籍によってはポートフォリオもアセットアロケーションも同じものと考え説明されている方もいます。
この場合は、自分の持つ資金を複数の資産に配分するというところから、この2つを同じ概念ととらえているのだと思います。
違いはどこか
違いがあるとすれば、「具体的な」という部分と「異なる性質」という部分であると考えられます。
「具体的な」の部分で考えてみます。
2つの用語が同じと考えて説明をしている書籍等では、資産の配分をするという考え(アセットアロケーション)が大前提ものと、その考えのもと資産を組み合わせ(ポートフォリオの構築)をしていくことを推奨しています。
通常、資産の構築にあたっては、資産とは金融資産で考える事が基本であり、個別株式なら具体的な銘柄(トヨタやソフトバンク等)を複数持ち、債券なら日本国債や米国債と複数持つというのが「具体的な」な保有の形になります。
異なる性質の資産とは
資産とは何かを生み出したり、希少性があるもの等の事をいいます。
資産といえば、主に株や債券などのペーパー資産(金融資産)が主なものになりますが、資産の特徴を考えると何かを生み出せることができる「ヒトが持つ能力」(ヒト資産)や生産するための仕組みとしての事「業(企業や組織)」(モノ資産)も資産といえます。
こうした資産性のあるヒト資産やモノ資産の事をことを「異なる性質をもつ資産」として考えると、アセットアロケーションでの資産の組み方が変わるのです。
ポートフォリオの違い
性質の異なる資産の概念を取り入れない場合のポートフォリオの例はは下記のようなものがあります。
労働する(会社勤め+副業としてのアルバイト) *労働の対価として収入を得る
労働する(会社勤め)+投資する:投資額の50%株式(全世界型の投資信託)+50%債券(25%先進国型の投資信託+25%新興国投資信託)
性質のことなる資産の概念を取り入れた場合のポートフォリオの例としては、下記のようになります。
労働する(会社勤め)+起業する(副業としてユーチューブ、収益不動産をもつなど)+投資する(自己投資)
労働する(会社勤め)+投資する(投資額の50%株式投資信託(全世界)+50%債券投資信託(先進国))+投資する(自己投資)
労働する(アルバイト)+起業する(物販+収益不動産)+投資する(投資額の25%づつを株式・債券(それぞれ日本と外国)に振り分ける)
ポートフォリオは基本的に金融資産構築の時に用いる概念です。
一般的なサラリーマンが金融資産によるポートフォリオを組んだ場合は、労働をする傍らで投資(金融資産)を行い、その際に組む金融資産の構成がポートフォリオとなります。
ですが、「異なる性質の資産」の概念を取り入れた場合は、事業や自己投資も資産の対象になりポートフォリオの形が変わる事がわかります。
まとめ
あらためて、今回の考察で分かったことをまとめてみます。
一つ目は金融資産のみで資産構築を考える場合はポートフォリオ概念のみで問題ない事
二つ目は「異なる性質」を意識するとアセットアロケーションの内容が変わるという事。(そのほかの資産にも目を向けるようになる。自己投資をして自分の付加価値を高め収入を上げたり、不動産事業を行い家賃収入を得たりすること等が該当)
特に2つ目の異なる性質の資産の部分は分散投資を考える上では大事な部分となります。
この概念を用いる事で、単に労働するだけでなく、事業や金融資産等の複数の資産を分けて保有するという着眼がもてるようになります。
今回の考察で自分の持つ資本(能力や時間)を有効に活用できるようにするためには、この2つの概念の違いを理解する事の重要性を改めて理解することができたのでした。
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